歯科常識

虫歯 - Dental Caries

口の中には、常在菌が少ない人でも120種、多い人では350種以上も存在しています。その中のミュータンスなど数種類のむし歯菌が歯の表面に付着しているところに、砂糖などの糖質がつくと、菌体内多糖という糊(のり)のようにべたつくものをつくりだして歯に強力に付着して、繁殖を始めます。この状態をプラークといい、歯磨きをしていない状態の歯の表面を爪や楊枝で掻き落とすとチーズのような粘着物として目で容易に見ることができます。このプラークの中で砂糖や炭水化物が発酵し、酸が産生され、蓄えられます。そして、この酸によって硬く石灰化していた歯質が脱灰(だっかい)されてしまいます。初期の脱灰は、歯の最表層よりも、内層に数十ミクロン入ったところのほうが強く起こり、歯の内部に浸透した光が複雑に屈折反射するために白濁(はくだく)した様相(白斑〈はくはん〉)を呈しています。この白斑のレベルであれば、ていねいな歯磨きを続けることで唾液の生理的作用によって再石灰化が期待できます。このように脱灰と再石灰化が繰り返しつつ起こりながら、再石灰化よりも脱灰が多く起これば、その結果としてむし歯が発生することになります。


歯周病 - Periodontal Disease

歯周病とは、口腔内の歯周病原性細菌によって引き起こされる感染症です。すなわち、細菌の攻撃に対する私たちの抵抗力つまりは免疫力が低かったり、細菌の活動性が免疫力より強かったりすると、歯周病は進行して、歯肉や歯槽(しそう)骨(歯の周りで歯を支えている顎の骨) などの歯周組織を破壊していくようになります。

 まず大事なことは自覚症状が顕著に現れる前に歯科医院で定期検診などを行い、 歯肉炎の治癒や、歯周炎における歯槽骨や歯周組織の吸収が始まるのを未然に防ぐことが非常に大事になります。歯周病が発症して進行した場合、とくに重度に進行した場合は、その組織の健全な回復は非常に困難で 、再生医療的処置を行わなければ失われた歯槽骨や歯肉は元に戻りません。 したがって現状では、歯周病に罹患(りかん)した場合、 リスクファクターを改善して歯周病がそれ以上進行しないようにする進行防止治療が標準治療となります。


口臭 - Bad Breath , Halitosis

口臭や体臭を本人が客観的に評価することはできません。人の臭覚は順応しやすく、同じ匂いにはすぐに慣れて感じなくなってしまいます。家族はともかく、友人でもよほど親しくなければ他人の口臭を指摘してはくれないでしょう。 それだけに、周りの人が迷惑していたり、本人が自分の息が匂うのではないか と悩んだり、 口臭にまつわる悲喜劇が生じます。  酒、タバコ、にんにくを食べた後の匂いのように、 原因がはっきりわかっているものについてはここでは問題にはしません。口臭を主訴として歯科を受診する患者さんについて調べると、80%以上の人はその原因が口腔内にあります。また、口以外の疾患からも口臭が出ることがあります。しかし、なかには客観的に口臭が認められないにもかかわらず、本人だけが口臭を感じるという特殊なケースがあります。このような患者さんは、 対人関係がうまくいかないのは自分の口臭が原因ではないかと悩んだり、恐れたりします。


親知らず - Wisdom Tooth

顔の中心から奥のほうへ数えて8番目の歯を親知らずといいます。この歯は生える時期が極端に遅く、平均寿命が短かった昔では親が死ぬ頃になって生えたことからこのように名づけられました。正しくは、智歯(ちし)または第3大臼歯(だいきゅうし)といいます。実際には、20歳前後に生えることが多いのですが、40歳代になってやっと生えることもあります。歯は生物の進化とともに退化する傾向があり、そのために大きさは大臼歯の中では最も小さく、形も萎縮したような変形のバリエーションが多くみられます。人によっては、左右上下そろえば4本ある親知らずのうちまったくない人から、全部ある人まで様々です。

 

妊娠中の口腔管理

①妊娠中の口腔病の原因

・大体の原因は口腔の衛生管理に問題があります。

・妊娠中の唾は酸性が強くて、ホルモンの分泌が変わりますので、虫歯になったり、歯周病になるケースが多いです。

・つわりのひどい時には歯磨きが難しくなり、口腔が不潔になりやすいです。

・ビタミン不足で新陳代謝に問題が起きやすいです。

②妊娠期に口の中によく起きる病気

・虫歯:ホルモンと体温の変化、食事回数の増加、口腔の不潔などが原因です。

・歯周病:ホルモンの変化、体の衰え、栄養のアンバランス、心の不安、不潔などが原因です。

・歯の痛み:健康な歯牙の場合でも痛くなる場合があります。

・口内炎:ビタミン不足で口の中に炎症が起きやすいです。

③妊娠時歯科病の予防

 生まれる赤ちゃんのために妊娠中には歯牙と口腔管理に気をつけましょう。バランスの良い栄養を取りましょう。